連載コラム

連載コラム:佐藤くらら陽子のブルゴーニュ日記 Vol.01 2015.12.08

皆さん、ボーヌの街からこんにちは!佐藤くらら陽子です。
8月末からフランスに入り、現在、ボーヌにあるワインの学校で醸造について
学んでいます。
9月は、サヴィニー・レ・ボーヌにあるドメーヌ・シモン・ビーズ・エ・フィスで、
オーナーの千砂さんの元に収穫と研修で一ヵ月間滞在し、収穫とワインの仕込み
の研修をしてきました。
今年のドメーヌ・シモン・ビーズ・エ・フィスの収穫は9月2日から始まり、
10日が最終収穫日。
毎日お天気に恵まれ、30人を超える収穫隊と一緒に収穫をしました。
キュヴリ(醸造所)では、運ばれてきたシャルドネは即座に圧搾、仕込みを行い、
ピノ・ノワールについては選果台での作業から始まり、タンクに入れるところまで。
それが終わるとすぐに水での掃除作業。
リアルに現場を体験し、とても勉強になりました。
今年のブドウは、春先から例年になく好天に見舞われたため、状態はとても良く、
ブルゴーニュ全体としても収穫が早めに始まりました。
そして、どの生産者も、「今年は特別」を口にします。
醸造所での仕事が終わると、今度はカーヴでの作業。
ラベル張りや梱包作業など研修期間があっという間に過ぎていきました。

そして、10月からはボーヌに引っ越し、学校生活が始まりました。
クラスは12人、日本人と中国人を除いた9人がフランス人なので、かなり
プレッシャーの多い毎日です。
醸造、ブドウの病気、ブルゴーニュの歴史、土壌、もちろん畑での作業、
トラクターの研修、トラクターのメカニズムまで様々な授業があります。
週2回の畑での授業はすでに、冬の剪定に入っており、手足が凍る中、
大きな剪定鋏を握って来年のブドウを考えながら枝を落としています。
醸造家を目指しているクラスメートは教室での授業は本当に辛そうですが、
畑での授業は目を輝かせながら楽しそうに作業をしています。
私は一人、そのギャップに笑っています。
それが、フランス人らしく、醸造家魂を感じたりしています。

そして先日、ブルゴーニュ最大のお祭り「栄光の三日間」が行われました。
13日のパリで発生したテロの為、幾つかのパレードなどは自粛キャンセルとなりまし
たが、マラソンやオークションは、収益の一部がテロの犠牲者への寄付となると
いう事で、無事に行われました。
いつも静かなボーヌの街が沢山の観光客でお祭りモードとなり、
この「栄光の三日間」がこの街にとって、とっても大切な大きなイベント
なのだと感じずにはいられませんでした。
私は、オークションに出される48種のワインを全て試飲しました。
さすがに今年は低収量ながらも好天に恵まれたため凝縮したワインに
仕上がっていたと思います。
ドメーヌによって、酸味の違いはあるものの、凝縮した果実味を感じました。
そして、シモン・ビーズのマダム千砂さんとともにオークション会場に同行し、
落札を目の前で体験することもできました。
今年の総売上は前年比プラス39%で、1,015万ユーロと、今までにない数字を叩き出しました。
コルトン・レナルドは1樽48万ユーロという記録的な価格がつき、
フランス人のバイヤーに落札され、クロ・ド・ラ・ロッシュは、前年の6万5,000
ユーロを上回る11万ユーロで落札されるという高騰ぶり。
写メを取る行為や、髪の毛を耳にかけるしぐさも、注意されるほどの緊張感でした。
(間違っても、落札しないために)
スリリングなオークションの現場を体験しました。

そして、「栄光の三日間」の余韻に浸っている所に、ボージョレーヌーボーの
解禁日が来ました。
ボーヌの街は「栄光の三日間」の余韻から、街中を歩き回っても、
ヌーボ-のポスターや看板をワインショップで見つけることができず、どこで買え、
どこで飲めるかさんざん探した挙句所、ようやく夕食の材料を買いに行ったスーパー
で、ボージョレーヌーボーのコーナーを発見しました。
ボージョレーだけでなく、ミュスカデ・ヌーボー、ローヌ・ヌーボーまであり、即購入。
思わぬところで発見でき、思わず笑ってしまいました。
また、ワインバーにも行きましたが、さすがに、当日は混み合っていました。
ここボーヌではヌーボーは気軽にスーパーでは2ユーロから5ユーロで、
ワインバーでも樽からのボトル取りを10ユーロで楽しめます。
日本のお祭りのような雰囲気は全くなく、かなりの温度差を感じました。
今年のヌーボーは暑かった春の影響もあり、凝縮したヌーボーに感じました。
日々、色々な発見と体験がありますが、美味しくワインを頂けることに感謝です。
では、また!