連載コラム

連載コラム:佐藤くらら陽子のブルゴーニュ日記 Vol.07 2016_07_10

ブルゴーニュより、こんにちは、佐藤くらら陽子です。

7月に入り、ようやく太陽がまぶしく感じるようになってきたボーヌです。それでもブルゴーニュの天候は不安定、ボージョレ地区では6月と同様に雹の被害が続き、ボーヌも雷と雨が突然降ってきます。
しかし、街中はすっかり夏休みモード。カフェやレストラン、ワインバーに入ると地元の人はヴァカンスの話で盛り上がります。また、急に観光客の数が増え、街中が一気に賑やかになりました。

6月最後の週は、クロ・ド・ヴージョの音楽祭の週でした。
幸運なことにドメーヌ・シモン・ビーズの千砂さんより、シャトー・クロ・ド・ヴージョで行われるコンサートにお誘い頂き、夏休みに来ている母と行ってきました。6人のカルテットの演奏は石造りの建物に反響し、素晴らしいハーモニーとなり、シャトーでの演奏会にうっとりと酔いしれました。(ワインは飲んではいません!)
そして、9日間続く音楽祭の第2弾としてシャトー・ムルソーで行われた試飲会+音楽会に行ってきました。シャトーで試飲会、その後ムルソー村の教会に移動してコンサート。教会の高い天井に響く音楽は幻想的でした。ワインとコンサートがセットになっている所がブルゴーニュらしく、ブルゴーニュでコンサートという、とても贅沢な経験をしました。

また、25・26日に行われていたヴォルネイ村の蔵開放のお祭り「エレガンス・ド・ヴォルネイ」に行ってきました。グラスを7ユーロで購入し、開放しているドメーヌならどこでも試飲ができるという、ヴォルネイ村のお祭りのようなイベントです。(各村で蔵開放の日があるので、嬉しい限りです!)
2014年のヴォルネイのワインが多く用意されていました。よくヴォルネイのワインは「女性的」と言われますが、それぞれドメーヌによってスタイルは違うものの、全体的にワインは赤い果物の味わいがしっかりと感じ取れ、タンニンと酸味のバランスが軽やかという印象、私は「華やかなワイン」だと感じました。まさに、「エレガンス・ド・ヴォルネイ」。ヴォルネイのワインを楽しみました。

さて、今の季節のサヴィニィの畑の仕事は「ルルヴァージュ」という作業になります。伸びてきた枝や葉を真っ直ぐ上に伸びるよう杭に張られている2本の針金の間にはさみ、誘引します。さらに、あちこちに枝が伸びないよう細い糸で葉をまとめる作業で、これが永遠と続きます。(葉をまとめても翌日にはすぐに色々な方向に伸びる為!)
太陽の日が強くなってきたため、この時期の畑仕事は早朝に始まります。そして、ブドウの樹の成長はとどまりませんので、土日も働く農家もあり、畑で働く人たちはみんな真っ黒に日焼けしています。
ちょうど日本からいらしていたお客様と一緒に畑仕事をする機会がありました。朝5:30集合で畑に向かいます。そして、杭に二人体制で枝をまとめる作業です。最初は会話も弾み、冗談を言いながら作業をしていたのですが、段々と無言。。。時間が経つにつれ日の光も強くなり、体力の消耗が始まります。そのような状況の中、8:00過ぎに当主の千砂さんがバゲットとチーズ、ハムとコーヒー、もちろんワイン!の朝食の差し入れを持ってきてくれました!「カス・クルート」と呼ばれるおやつ・朝食の時間です。
太陽の下、ブドウ畑に囲まれてのワイン付きの最高に贅沢な朝食です。皆さん疲れも忘れ、笑顔が戻ってきます。

シモン・ビーズの千砂さん曰く、サヴィニィ・レ・ボーヌの4月末の霜の被害は特にシャルドネに大きく、今時点でかろうじて実をつけているのはピノ・ノワールという事。畑の中でまだ小さな実を見つけると、大切に扱わなくてはいけません。

また、ボーヌ・ロマネで作業されている方と話した時に、「今年は本当に難しい、枝を落とすのは簡単だけれども、その枝も少ない、、ブドウの実がついているのが、ありがたく、その実を落とさないようにキープする方が難しい。。。」と聞きました。本当に天候の恐怖と有り難さを感じずにはいられません。

7月中旬、ブドウの実がしっかりしてくると後は熟してくれるのを待つ状態になり、多くのドメーヌがヴァカンスに入ります。収穫までの息抜きでしょうか!

ではまた!