【土日祝日除く】ご指定がない場合、ご注文日から1~2営業日で発送します。
お届け日は、エリアにより出荷翌日から翌々日となります。
ブシャールの物語 ー 歴史と情熱が織りなすワインの芸術
ブシャールの歴史は、1731年に始まりました。しかし、本当の意味でこの名が輝きを放ち始めたのは、1775年のこと。ヴォルネーの名高いカイユレ畑やタイユピエ畑を手に入れ、ワイン造りの第一歩を踏み出しました。
大きな飛躍を遂げたのは、3代目アントワーヌ・フィリベールの時代です。フランス革命の混乱の中で、多くの畑が国に没収され、民間へ払い下げられました。アントワーヌはこの機を逃さず、可能性に満ちた畑を次々と手に入れ、ブシャールの所有する土地は飛躍的に広がっていきました。そして1820年、彼は歴史の重みを感じさせるシャトー・ド・ボーヌ城を購入。その地下に広がる静寂の空間を熟成庫として活用し、時を超えて今もなお、ワインがゆっくりと眠っています。
しかし、栄光の時代の後には試練が訪れるもの。1970年代から80年代にかけて、ブシャールは衰退の時を迎えました。しかし、ワインへの情熱は途切れることはありませんでした。1995年、シャンパーニュ・アンリオのジョゼフ・アンリオが経営を引き継ぐと、畑から醸造に至るまで、すべてを見直し、大胆な改革を行いました。その結果、ブシャールはふたたび世界に名を轟かせる名門ドメーヌへと返り咲いたのです。
※シャトー・ド・ボーヌ城
ブシャールのワインは、ただ自社畑のブドウから生まれるものだけではありません。長年にわたり築かれた信頼関係をもとに、契約農家と共に理想のブドウを育てています。栽培の指導を行い、細やかな管理のもと、ブシャールのスタイルにふさわしい果実を厳選。2015年には、環境保全を重視した農法の最高レベルであるレベル3の認証を取得しました。自然との共存を大切にしながら、未来へと続くワイン造りを実践しています。
畑 ー 大地の声を聴きながら
ブルゴーニュの心臓部コート・ドールに広がるブシャールの畑。グラン・クリュ 12ha、プルミエ・クリュ 74ha、総面積130haに及ぶその広大な土地は、ワインの神秘を秘めています。約30カ所に設置された気象台は、天候や土壌の状態を見守り、病害の兆しをいち早く察知。まるで大地と対話をするかのように、最適なタイミングで手を差し伸べます。
収穫の時が訪れると、畑では職人たちが丁寧にブドウを摘み取ります。機械には頼らず、すべて手作業で、一粒一粒を大切に。果実を傷つけぬよう13kgの小型ケースで慎重に運ばれ、醸造所へと旅立っていきます。そこでは、選果台の上で最後の厳選が行われ、最も優れたブドウだけがワインへと生まれ変わるのです。
醸造 ー 時を超えて語り継がれる味わい
ブシャールの哲学はシンプルです。「テロワールの個性を、ありのままに表現すること」。そのために、樽香は決して強すぎず、控えめすぎず、ワイン本来の魅力を引き立てる絶妙なバランスを追求しています。特別にタランソー社と手を組み、オーダーメイドの樽を造る樽製造会社を設立。それぞれの畑の個性に合わせた樽を使用することで、唯一無二の味わいが生まれます。
2005年には、地下2階・地上1階からなる最先端のグラヴィティシステム醸造所が完成。重力を活かし、果実や果汁に余計な負担をかけることなく、やさしくワインを生み出していきます。最新の小型ステンレス発酵槽や、木製発酵槽を駆使し、それぞれの区画ごとに個別の醸造を実施。ブシャールのワインが、畑ごとの個性を鮮やかに映し出すのは、この細やかな手仕事の賜物です。静寂の地下2階には、ゆっくりと時を刻む樽熟成庫が広がっています。ここでは、一年を通じて温度と湿度が安定し、ワインたちは静かに熟成を重ね、豊かな表情を育んでいきます。