エレガントな赤果実の香りと豊かなボディが魅力。ワイン通も納得の一本。
全房発酵のお手本のような味わいのワインを造るシモン・ビーズ。その味わいはしっとりとしていて滋味深く、ちょっと影や憂いを感じさせるような雰囲気をまといます。サヴィニーの最高峰ともうたわれる1er畑であるこのオーヴェルジュレスは、赤系果実をやや煮詰めたような優しい香りに、チェリーの香り、全房由来の湿った土や、ビーツを感じさせる香りを持ちます。口中での風味の湧き立ち方や奥行きの深さは目を見張るものがあり、この畑のポテンシャルとそれを引き出す技術がうかがえます。間違いなく上質のブルゴーニュ。
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時の流れを纏う、
古樽の香り高きアリア。
力強い果実と繊細なタンニンが
融合し、永遠の調べを奏でる。
外観:鮮やかなガーネット色。
香り:チェリー、ラズベリー、スパイス、そしてわずかな森林の香り。
味わい:フルボディで、熟した赤い果実の風味、繊細なタンニン、長い余韻。
ビーフ・ブルギニョン:ワインの力強い果実味が料理の濃厚な味わいを引き立てます。
熟成チーズ:繊細なタンニンがチーズのクリーミーさと絶妙に調和。
トリュフ入りリゾット:ワインの繊細なスパイスがトリュフの風味を高める。
酸とミネラルを基調としたエレガントなワインへのこだわり
サヴィニー・レ・ボーヌという比較的マイナーなアペラシオンにあって、驚くほど緻密で繊細なワインを生み出すドメーヌ・シモン・ビーズ。ドメーヌの創設は1880年。初代シモン・ビーズがわずかばかりのブドウ畑を耕作して始めた。1950年に孫の3代目シモンがドメーヌを継承すると、ブドウ栽培のみならず、醸造家としての才能にも恵まれた彼は、戦後の経済復興もままならぬ中でドメーヌ元詰めを決意。ドメーヌ・シモン・ビーズのワインは高く評価され、レストランのシェフやソムリエ、さらにワイン愛好家の間で広まっていったという。
そして1972年にドメーヌを引き継いだのが、3代目シモンの息子、パトリックである。彼はドメーヌの名声をさらに高めると同時に、ブドウ畑を大きく拡張。1995年にラトリシエール・シャンベルタン、1997年にコルトン・シャルルマーニュと、赤白ふたつのグラン・クリュを手に入れることに成功し、ドメーヌの総面積は22ヘクタールに達した。
1998年、パトリックは日本人女性の千砂さんと結婚。長男ユーゴ、長女ナスカというふたりの子どもにも恵まれたものの、2013年10月、61歳の若さで他界した。以後、ドメーヌの舵取りは千砂さんと、パトリックの妹で、ヴォーヌ・ロマネのドメーヌ・ジャン・グリヴォに嫁いだマリエルに委ねられている。ドメーヌでは2008年から、千砂さんの進言によりビオディナミ農法を採用。子育ての過程でシュタイナー教育に興味をもった千砂さんが、シュタイナーの理論が農業とも結びついていることを知り、アンヌ・クロード・ルフレーヴによるビオディナミの勉強会に出席したのがきっかけ。パトリックに相談すると、「セルパンティエールなら試してもいい」と言われたという。当時、セルパンティエールの畑はウィルスに冒されており、引き抜くしかなかったが、ビオディナミを実践すると畑の様子が徐々に変わってきた。ワインの質は始めてすぐに変わったという。「2008年からワインにヴァーティカルなラインが出て、緊張感のあるワインになった」と千砂さん。ワイン造りは今も昔も変わらない。白ワインは収穫後、ブドウをただちに圧搾し、12時間のデブルバージュ。小樽に移して発酵。クリマに応じて6∼12ヶ月の樽熟成を行う。新樽率は15∼30%と比較的少なめで、古い樽は5年ものまで使用する。バトナージュは機械的には行わず、各樽の状態を見て判断するという。
赤ワインの醸造も古典的。基本は100%全房である。近年の例外は成熟の難しい区画のブドウを除梗した2007年と、大雨や雹に祟られ完全除梗を決断した2013年。発酵には木桶を使い、柔らかな抽出のためピジャージュは足。その後、樽に移すが新樽率はきわめて低く、まったく新樽を使わないキュヴェも多い。収穫翌年の1月から3月にかけてすべてのワインを瓶詰めする。シモン・ビーズのワインの特徴は”端正”のひと言。白はきれいな酸味が基調でミネラルに富み、赤はしなやかながらストラクチャーはしっかりしてる。いわゆる過剰なところがないのがこのドメーヌの特徴であり、料理と合わせるとじつにおいしく、その値ごろ感からもレストラン向けのワインといえるだろう。2014年は買いブドウながら、千砂さんが欲しい欲しいと言い続けてきたコルトンの赤(リューディはルナルド)をとうとう醸造。「天国のパトリックからプレゼントが届いた」と千砂さんは語る。また息子のユーゴは現在、ボーヌのリセ・ヴィティコールに通い、頼もしく成長している。パトリック亡き後のドメーヌも安泰である。
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全房発酵のお手本のような味わいのワインを造るシモン・ビーズ。その味わいはしっとりとしていて滋味深く、ちょっと影や憂いを感じさせるような雰囲気をまといます。サヴィニーの最高峰ともうたわれる1er畑であるこのオーヴェルジュレスは、赤系果実をやや煮詰めたような優しい香りに、チェリーの香り、全房由来の湿った土や、ビーツを感じさせる香りを持ちます。口中での風味の湧き立ち方や奥行きの深さは目を見張るものがあり、この畑のポテンシャルとそれを引き出す技術がうかがえます。間違いなく上質のブルゴーニュ。