カシスやブラックベリーに赤果実、スミレの香り。トーストやカカオ、焙じたヘーゼルナッツや葉巻、湿った土の気配が奥行きを与えます。力強く端正で、タンニンはベルベットのように細やか。緻密でフレッシュな質感です。豊かな果実味と樽由来のバニラが調和。張りのある酸が骨格を整え、フィニッシュは驚くほど長く伸びやかです。2008年ヴィンテージは華やかでクラシックなスタイル、そして凝縮感に満ちた非常に深い味わいに仕上がっています。
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代々受け継がれる伝統と革新
不変なるムートンの誇り

18世紀、ムートンの畑はラフィットやラトゥールと並び、「ブドウの王子」と称されたニコラ=アレクサンドル・ド・セギュール侯爵の所有にありました。その後、ド・ブラーヌ男爵が畑を受け継ぎ、シャトー・ブラーヌ=ムートンと名付けます。1853年、名門ロッチルド家のイギリス分家に属するナタニエル・ド・ロッチルド男爵が、このシャトーを競売で落札しました。来賓をもてなすための自らのワインを造りたいという願いが、その出発点でした。ワイナリーはメドックの中心、ポイヤック村に位置し、以後「シャトー・ムートン・ロッチルド」と改名されます。1922年には若きフィリップ・ド・ロッチルド男爵が継承し、1924年にボルドーで初めて自社瓶詰めを導入。伝統に革新をもたらしたこの決断が、ムートンの名声を世界に広める礎となりました。

ムートン・ロッチルドを語るうえで欠かせないのが、芸術と哲学の融合です。1945年以降、毎年異なる著名画家が手掛けるラベルアートは、ワインを時代と共に語る文化的象徴となりました。また創造性と伝統を併せ持つこのシャトーの精神を体現する言葉が、「Mouton ne change(されどムートンは不変なり)」です。1855年の格付けで2級にとどまった際、ナタニエル男爵は「1級にはなれないが、2級には甘んじれぬ。ムートンはムートンなり」との言葉を残しました。彼の信念はフィリップ男爵に受け継がれ、長年の努力の末に1973年、ムートンは悲願の1級に昇格します。その年、ピカソのラベルに刻まれた「我1級なりぬ、かつて2級なりき、されどムートンは不変なり」は、シャトーの誇りと不屈の精神を象徴する言葉となりました。

ムートン・ロッチルドの畑は、標高27メートルの「ムートンの台地」と呼ばれる丘を中心に広がっています。深く礫質の土壌は、ブドウに力強さと気品を与え、この地ならではの風格を生み出します。醸造は伝統的な木製タンクとステンレスタンクの双方を駆使し、精緻に管理されます。発酵後、ワインは新樽で約20ヵ月間熟成され、卵白による清澄を経てボトリングされます。こうした一切の妥協を許さない姿勢が、ムートンの圧倒的な完成度を支えています。現代のムートンのワインは常に華やかで、自然に立ちのぼるスモーキーな香りが印象的であり、気高さと豊潤さを兼ね備えた存在として知られています。

現在、ムートン・ロッチルドはフィリップ・セレイス・ド・ロッチルドを中心に、姉のカミーユと弟のジュリアンが力を合わせて運営しています。ゼネラル・ディレクターのアリアンヌ・カイダ氏、テクニカル・ディレクターのジャン=エマニュエル・ダンジョワ氏を擁し、ワイン造りの伝統と革新を見事に融合させています。2013年には新しい醸造施設が完成し、より精密な品質管理が可能となりました。世代を超えて受け継がれる情熱と誇り、そして変わらぬ哲学――ムートンは、今も未来も「不変の輝き」を放ち続けています。
※画像はイメージです。ワインのラベルやキャップシール等の色、デザインは変更となることがあります。
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