ブドウ栽培に適した冷涼な気候とエネルギーに満ちた雄大な大地を持つワイン産地、南アフリカ。近年、新進気鋭の生産者が続々と集まり、品質が目覚ましく向上しています。今回は、そんな無限の可能性を秘めた南アフリカのワインから、高品質でありながらリーズナブルな5本をご紹介いたします。

ヴィオニエ、シュナンブラン、グルナッシュ・ブランをそれぞれの品種で発酵し、各品種の良さを引き出した白ワイン。ヴィオニエのリッチで熟した果実味、シュナンブランのキレのある酸、グルナッシュ・ブランの柑橘やハーブのニュアンスなどの、3つの品種の個性が高い位置で調和し、コクのあるワインに仕上がっています。また、シュナンブランとグルナッシュ・ブランはフレンチオークを使用。高級感のあるしっかりとしたアフタ－も楽しめるところも魅力のひとつです。桃や黄色いプラム、スパイスの芳醇なアロマ。凝縮した果実味が口の中に広がるコクのある白ワイン。

この地に伝わるオオカミの話に由来する「ウルフトラップ（狼のワナ）」と名付けられたシリーズ。ウルフトラップの特徴であるジューシーでフルーティーな赤ワインです。スミレや熟したプラムを思わせる豊かなアロマ。チェリーなどの赤系果実の果実味がたっぷりと広がります。このワインの最大の魅力は、非常にジューシーな飲み心地。加えてスパイシーなニュアンスも少しあり、よいアクセントになっています。酸は強すぎず、タンニンもおだやか。濃厚ではありますが、重くはなく、口あたりが滑らかなぐいぐい飲めちゃう赤ワインです。

■ブーケンハーツ・クルーフ／Boekenhoutskloof

南アフリカ／フランシュック

ブーケンハーツクルーフ社は、南アフリカの代表的な「ワールドクラス」のワイン生産者で、1776年に設立されました。フランシュック地区で最も歴史があり、高く評価されているワイナリーです。ワイナリーの名前は、アフリカーンス語で「土着のブナの木」を意味する「ブーケンハーツ」に由来しています。トップレンジのワインラベルには、この木で作られたケープ・オランダ様式の7つの椅子が描かれており、かつてブナの木で家具が作られていたことを表しています。2008年には、米国のロバート・パーカーのワイン・バイヤーズ・ガイドと、欧州のワインレポートの両方で、南アフリカのNo.1ワイナリーに選ばれました。ワイナリーは、フランシュックの山々に囲まれた谷にあり、25ヘクタールのブドウ畑を所有しています。主にシラー種を栽培しており、東向きの斜面にあるため、日照時間が限られ、ブドウがゆっくりと成熟する理想的な環境です。現在、オーガニック栽培に移行しています。ワイン造りは、才能豊かな醸造家マーク・ケント氏が手掛けており、力強さと果実味にあふれる「ニューワールド」の特徴と、エレガントな「旧世界」の要素を兼ね備えたワインを生産しています。

ドルニエ社は、数ある南アフリカワインの中でも「新世界ワインの常識を覆すワイン」と称されるほど「最も繊細で美しいエレガントなワイン」を生産する代表的なワイナリー。

バナナや柑橘を思わせる芳醇な香り。完熟したフルーツのようなトロピカルな果実味。アフターに広がる美しい酸が上品さをもたらしています。複雑でしっかりとした味わいを楽しめる上質シュナン。このワインは1本あたり50円を現地の教育支援施設へ寄付しています。

サクランボ、クランベリーの赤系果実にカシスやプラムの濃厚なアロマ。凝縮した果実感と、程よいタンニンがありしっかりとした口あたりが楽しめます。適度に樽の風味が感じられ、ボリューム感があるのに重すぎず飲みやすい。ドルニエらしいエレガントに仕上がった赤ワインです。品種のブレンドのバランスも絶妙。ゆっくりとお楽しみください。

■ドルニエ／Dornier

南アフリカ／ステレンボシュ

ドルニエ社は、南アフリカを代表するワイナリーで、「新世界ワインの常識を覆す」と称されるほど繊細で美しいエレガントなワインを生産しています。2004年のデビューから短期間で数多くのメダルや賞を受賞し、世界中で高く評価されています。同社のワインは、才能あるスタッフが最先端の設備と理想的な環境で育てた最高品質のブドウを使用し、完璧を目指して作られています。特に注目されるのが、ワイナリー正面にある池。この池の下には地下セラーがあり、温度を下げてワインの醸造と熟成に最適な条件を維持しています。ドルニエ社のワインは、3つのレンジに分かれています。トップレンジはブレンドタイプの「ドナトゥス・シリーズ」、ミドルレンジは単一品種の「ドルニエ・シリーズ」、そしてセカンドレンジは「ココアヒル・シリーズ」です。特に「ココアヒル・シリーズ」は、南アフリカの子供たちの教育支援を目的としたワインです。輸入される1本につき50円が、現地の教育支援基金に寄付され、主にPEBBLES（ペブルス）という教育支援施設での美術や芸術活動に役立てられています。これにより、気軽に楽しめる美味しいワインを飲むことで、教育支援にも貢献できます。

南アフリカ・ケープタウンの中でも冷涼な産地エルギンの高品質なシャルドネ。レモンやライムなどの柑橘類に熟した白桃やリンゴ。芳醇でありながらも凛とした清涼感も持ち併せてたアロマが香ります。ボリュームのある果実味に、冷涼なこの地を思わせるしっかりとした酸が加わり、余韻はとてもエレガント。透明感あるシャブリを思わせるスタイルです。南アフリカの実力が感じられるシャルドネ。

■ポールクルーバー／Paul Cluver

南アフリカ／エルギン

ポールクルーバー・ワイナリーは、南アフリカのケープタウン近郊にあるエルギン地区に位置しています。この地域は、フランスのブルゴーニュ地方と似た涼しい気候で、ブドウがゆっくりと成長するため、質の高いブドウが収穫できることで知られています。同社はエルギン地区をワイン産地として有名にしたパイオニアで、2007年には「南アフリカで急成長中のワイナリー」「ベストバリュー・ワイナリー」「最もエキサイティングな発見」のトップ10に選ばれました。また、国際的なワイン評論家ジャンシス・ロビンソン氏からも高く評価されています。家族経営のこのワイナリーは、オーナーのポールクルーバー氏が「質にこだわるワイン造り」を掲げ、全ての工程を丁寧な手作業で行っています。ワインの熟成にはフランスの5つの異なるオーク樽を使用し、複雑な風味を追求しています。さらに、ポールクルーバー氏は、アパルトヘイト廃止後、黒人労働者や地域住民の生活向上を目指す「タンディ・プロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトでは、アフリカ系コーサ人の言葉で「愛」を意味する「タンディ」というオリジナルワインを生産し、その利益で地域の生活環境を改善しています。タンディ・ワインは国際的にも評価され、スタッフも誇りを持って働いています。

ポールクルーバーのこうした取り組みは、南アフリカ国内外から注目を集めています。